便潜血検査が陽性であった
便潜血検査は大腸ポリープや大腸がんを高感度に早期発見するための、無侵襲な優れたスクリーニング法です。大腸ポリープや大腸がんの他にも痔や症状の出ていない段階の潰瘍性大腸炎やクローン病などが発見されることもあります。検査で異常を指摘されたら必ず大腸カメラを受けましょう。前述した病気があれば治療や切除を考えましょう。大腸カメラで異常がなければご安心して頂いて大丈夫です。
採血でピロリ菌陽性の可能性を指摘された
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は胃に感染することにより、胃は慢性胃炎となり胃潰瘍。十二指腸潰瘍や胃がんが発生しやすくなります。ですので、胃がピロリ菌に感染している場合は前述した病気が発生しないようにピロリ菌の除菌療法(1週間の内服のみです)を受けて頂くことが勧められています。ピロリ菌の検査方法は採血、検尿、検便などさまざまですが、検査によっては過去のピロリ感染を判定しており現在は自然にピロリ菌が駆除されている場合も少なからずあります。また、除菌療法を受ける場合は保険上治療6か月以内に胃カメラを受けて頂いてなければなりません。まずは胃カメラを受けていなかったら胃カメラを受け粘膜のピロリ菌判定検査、必要に応じて息の検査(尿素呼気試験)を受けましょう。ピロリ菌が陽性と判定され胃カメラで大きな病気がなければ、除菌療法をお勧めします。
※ピロリ菌陽性の可能性を指摘され受診なさる患者さんへのお願い
できれば初診時に絶食で受診下さると助かります。
胃薬を服用されている場合は、ピロリ菌陽性でも陰性と判定されてしまうこと(偽陰性)があるので申し出て下さい。
胃のバリウムで異常を指摘された
バリウムを飲んで頂き胃や食道の内部をレントゲンで描出する検査です。胃や食道のポリープ、潰瘍、がんなどの病気が描出されることがあります。またバリウムの検査は臓器の内部を直接見る検査ではないので、前述した病気などが少しでも疑われたら異常を判定されます。検査で異常を指摘されたら必ず胃カメラを受けましょう。前述した病気があれば治療や切除を考えましょう。胃カメラで異常がなければご安心して頂いて大丈夫です。
採血で腫瘍マーカー高値を指摘された
CEA、CA19-9
人間ドックや健康診断などで測定されることが多い腫瘍マーカーはCEAやCA19-9であることが多いです。これらが上昇する原因疾患としては胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆管がん、胆のうがんなどであることがあります。しかし、何も悪性疾患がなくても腫瘍マーカーは上昇することは少なからずあります。原因疾患があれば速やかにしかるべき治療を受けて頂く必要がありますし、原因疾患がなければ安心して頂きたく、そのためには胃カメラ、大腸カメラ、腹部エコーやCTを受けて頂きたく存じます。
AFP
また、人間ドックや健康診断などで測定されることが多い腫瘍マーカーとしては、肝臓がんができた際に上昇するAFPです。AFP上昇肝臓がんができた際に上昇しますが、CEAやCA19-9同様に何も疾患がなくても上がることもありますし、肝硬変単独でも上昇します。肝臓がんの否定は大事なので、腹部エコー、CT、採血による更なる精査は必要です。
採血で肝機能障害を指摘された
まずは肝機能障害がどの程度か、肝硬変に至っていないかを判定し対応を考えてましょう。次に原因が何かを精査します。肥満があるかどうか、アルコールはどの程度摂取なさるかなどを診察し、B型肝炎、C型肝炎、状況によっては免疫異常によるものでないかどうかなどを調べましょう。そして、肝機能障害をきたすような悪性の病気(肝臓がん、胆管がん、膵臓がん)がないか検査しましょう。採血で肝機能障害を指摘された方には詳しい問診、詳しい採血による精密検査、腹部エコーをお勧めします。
採血で貧血を指摘された
貧血を認めれば先ず原因を探すことが最も大切です。先ずは消化管の出血をきたす病気(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌、大腸癌など)がないかどうか、女性では婦人科領域(子宮筋腫、子宮癌など)の病気がないかどうかが大切です。そのような病気がなければ、血の色素のバランスにより貧血の種類を大別し、その種類により採血の精密検査の項目を検討することも重要です。原因はいろいろありますが、最も多い貧血は鉄欠乏性貧血です。貧血が軽度のうちは自覚する症状もないことが多いですが、貧血が進行すると息切れ、全身倦怠感、食欲不振、動悸などを自覚するようになります。ですので貧血を指摘された方へは採血で精密検査、胃カメラ、大腸カメラを先ず行います。必要ならば腹部エコー太CTも行います。貧血をきたす消化管や婦人科の病気があった場合は、それらの治療が貧血の治療となり、そうでなく他に原因があるならば原因に合わせた治療となります。鉄欠乏性貧血で治療が必要ならばならば、適切な鉄の補充が治療になります。いずれの原因の貧血でも、貧血の程度や原因によっては輸血を前提とした入院施設のある病院を紹介いたします。
腹部エコーで胆のうポリープを指摘された
多くは経過観察可能ですが、一定の大きさを超えるとがんなどを考えなくてはならないので手術をお勧めいたします。詳しい採血による精密検査、1年ごとを目安とした腹部エコーによる経過観察をしましょう。
採血でB型肝炎、C型肝炎を指摘された
まずは肝機能障害がないか、肝硬変に至っていないかを判定し、本当にB型肝炎、C型肝炎に感染しているのかを調べましょう。そして肝臓がんがないか検査しましょう。詳しい採血による精密検査、腹部エコーをお勧めします。
腹部エコーで胆石を指摘された
多くは経過観察可能ですが、長い将来的に胆石が原因で胆のう炎をきたしてしまうこともありますので、早期に手術のご希望あればしかるべき施設をご紹介させて頂きます。ご希望がなければ1年枚の経過観察を行いましょう。
腹部エコーで肝臓の陰影を指摘された
治療を考えなくてはならない病気は原発の肝臓がん、ほかの癌からの肝臓への転移などですが、多くは経過観察可能な肝血管腫や脂肪の沈着(まだらな脂肪肝)などです。詳しい採血による精密検査、造影剤を使ったCT(病院施設へ依頼します)を受けましょう。
採血でアミラーゼ値の高値を指摘された
アミラーゼは膵臓に異常があり上昇することもありますが、膵臓やほかの内臓に問題がなくアミラーゼが高値なだけで医学的に問題のない方がいらっしゃいます。詳しい採血による精密検査、膵臓その他に大きな病気がないかチェックするため腹部エコーを受けましょう。
高血圧を指摘された
血液検査、尿検査、胸部レントゲンや心電図(心拡大の有無など)などを行い、家庭血圧の測定をお勧めします。まずは塩分制限などの食事療法、必要ならば降圧薬は少量より開始し、効果が不十分な場合は作用機序の異なる内服薬を組み合わせて行いますが、治療に難渋する場合は循環器内科、腎臓内科、内分泌内科の専門医に相談、紹介を行います。
採血で中性脂肪の高値を指摘された
まずは生活習慣の改善(食事療法、運動療法)、それにもかかわらず改善しない場合は内服治療を検討します。
採血で尿酸の高値を指摘された
まずは生活習慣の改善(禁酒、運動療法)、それにもかかわらず改善しない場合は内服治療を検討します。
採血で高血糖を指摘された
ヘモグロビンA1cを含めた採血の精密検査追加、採尿、腹部エコー(膵臓に原因がないかなど)などを行い、必要ならば他の検査を追加しましょう。糖尿病ならばまずは食事療法と運動療法、必要ならば内服による治療やインスリン導入となります。インスリン導入が必要ならば専門施設をご紹介致します。
ペプシノーゲン法で異常を指摘された
慢性胃炎になると胃酸分泌が低下します。ペプシノーゲンとは胃酸の基になる物質で、胃酸が低下する慢性胃炎になっているとペプシノーゲンが低下します。つまり、慢性胃炎があると胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんやポリープができやすいので胃カメラを受けましょう、という意味合いの検査法です。