このようなときは当クリニックをご受診ください
腹痛、下痢、便秘、血便 など
腸の不快感が起こる主な疾患
感染性胃腸炎
食当たりも含めた、細菌やウィルスなどの微生物の腸管への感染のため急に下痢や腹痛をきたし、嘔気、嘔吐、みぞおちの痛みなども伴うことがあります。多くは腸の感染により水分が吸収できない上に下痢と嘔吐により身体の水分が損なわれ、強いのどの渇きを伴います。便院の微生物によっては血便を伴うこと、また症状が比較的長期に遷延することもあります。
症状的に潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患と区別が難しいときは大腸カメラを要することがあります。
治療は点滴を含めた水分補給が第1です。必要に応じて抗生物質や整腸剤などを処方します。脱水が著しい場合や症状が強い場合はしかるべき施設で入院をお勧めする場合もあります。
大腸ポリープ
- 大腸ポリープで症状があることは殆どありません。便潜血反応が陽性であったなどをきっかけに無症状の方が大腸カメラを受けてみたらみつかったなどのケースが殆どです。まれにポリープが大きくなると血便を呈することがあります。
- 大腸ポリープの殆どは組織的に「腺腫」と呼ばれるものが殆どで、腺腫はがんの前の段階と考えられています。大腸ポリープの内視鏡的切除は胃や食道の内視鏡的切除に比べて安全性が高く、殆どの患者さんに対して当クリニックにおいての日帰りの内視鏡的切除が可能です。(詳しくは大腸カメラをお読み下さい)
- 大腸ポリープを確実に安全に内視鏡で切除するには大腸の空気の量の調節、病変を持ってくる方向と、ポリープの根元に注射を用いるときは注射の位置が大事です。内視鏡的に切除不能な段階であることや異なった疾患であることもまれにあるので、形態を判断することが必要になり経験値が肝要になります。
- 大きいポリープは出血や穿孔などのリスクが上がる場合がありますから入院の上での内視鏡的切除が望ましいと思いますので、しかるべき病院施設へ紹介させて頂きます。
大腸がん
- 大腸の早期がんは大腸ポリープを取って顕微鏡検査で一部がん化しており診断されるものが殆どで、内視鏡による切除でとりきれるものが殆どです。
- 内視鏡的な切除を受けて早期大腸がんと診断を受けた場合、早期大腸がんはがん保険の対象外となってしまうことが多いので保険会社に確認下さい。
- 今日においても発がんの原因は胃がんや食道がんのように明確になっていませんが、我が国における食事の欧米化が原因の1つと指摘されており、増加している疾患です。
- 大腸がんは早期がんの段階では症状があることは殆どありません。病変が大きくなると血便を呈することがあります。
- 大腸がん検診などによる便潜血反応は症状がない場合の大腸ポリープ、大腸がん(早期がんでも進行がんでも)に対する感度は高い検査ですので、積極的に大腸カメラを受けて頂ければと存じます。
- 進行大腸/直腸がんになっていると採血にて貧血(赤血球が低値)や一般的な腫瘍マーカー(CEA、CA19-9など)が上昇する場合が多くある時から始まる便秘、残便感、腹部膨満感、腹部のしこり、貧血などによる倦怠感などの症状が出てきくることが多いです。患者さんによっては下痢と自覚する方もいらっしゃり注意が必要ですが、残便感や腹部膨満感を伴うことが多いので、このような症状の場合は前もってお伝え頂けると助かります。
盲腸炎
右の大腸の一番下の盲腸というくぼみに便がたまるなどの原因で炎症をきたした病態です。
一般的には右下のお腹の痛みを呈することで知られていますが、実際には最初はみぞおちの痛みで発症し時間とともに痛みが右下に移動するという方が多くみられます。
盲腸炎が疑わしい患者さんへは、当クリニックでは至急採血を行い腹部エコーで盲腸の様子を観察します。盲腸炎であると診断した患者さんへは入院施設のあるしかるべき施設を紹介させて頂きます。
大腸憩室
大腸憩室とは大腸の壁の弱い部分が外側に突出するもので腸の中からの大腸カメラではくぼみとしてとらえられ、加齢に伴い発生率は上昇します。好発部位は右側の上行結腸もしくは左下のS状結腸です。
憩室の存在だけでは無症状ですが、便が挟まるなどにより炎症や出血などを起こします。
炎症を起こすと憩室のある部位の右側や左下の腹痛が生じ、発熱を伴うこともあります。重症度が軽微な場合は当クリニックで抗生物質を投与しながら経過観察しますが、重症である場合は入院施設のある病院へご紹介します。
憩室内の微小な血管が破綻すると下血を起こします。大腸憩室からの出血は出血の程度が多い場合が多いので、大腸憩室出血が疑わしい場合は入院施設のある病院をご紹介します。
まれにS状結腸に多発している憩室のために腸が硬く狭くなってしまい、便が通らなくなってしまう方がいらっしゃいます。
S状結腸に憩室があると大腸カメラの種類を考えた方が挿入しやすいので、言われたことがかる方は申し出て頂けると助かります。
虚血性腸炎
大腸を栄養する血管に何らかの血行障害が生じ発症する腸炎で、多くは便秘後の腹痛、その後血便を認めて受診されることが多いです。
大腸内視鏡によって特異的な腸炎の像をとらえられ、診断されます。
多くは数日は消化のよいものを摂取頂いて整腸剤を投薬させて頂く程度で改善しますが、まれに重症である場合は入院施設のあるしかるべき施設を紹介させて頂きます。
過敏性腸症候群
大腸カメラや血液検査などで明らかな異常が認められないにも関わらず、腹痛や腹部の不快感を伴って、下痢や便秘などの便通異常が長く続く病態です。
検査で見た目は何もなく、よく「気のせい」と言われてしまいますが当クリニックでは決して「気のせい」にせず真摯に取り組んで参ります。
過剰な腸管の動き(蠕動)が強いことや弱いこと、食事が胃に入ることによる腸管の動きの促進(胃結腸反射)、食事、ストレスなど原因は患者さんによって様々です。
まずは大腸カメラや採血によって大きな病気がないか確認することが大事です。
症状で日常生活に支障があるならば腸管の動きを整える過敏性腸症候群治療薬、整腸剤、漢方、抗不安薬、腸内細菌を考えたサプリメントなど患者さんに応じた治療を考えて参ります。
弛緩性便秘
大腸がんなどで大腸に狭くなっている部位(狭窄)がなく、腸の動き(蠕動)や便を押し出す力が弱くなってしまい、きたす便秘の総称です。
下剤の選択はとても大事で、中には長い目で見ると逆に便秘を増悪させてしまう下剤もあります。
まずは大腸カメラや採血によって大きな病気がないか確認することが大事です。
今日では多くの新規の下剤が登場しており、患者さんに合った下剤の選択を心掛けるようにしています。場合によっては腸内細菌を考えたサプリメントなどをお勧めすることもあります。